ディズニーリゾート35周年以降「大転換」の可能性
開園35周年を迎える東京ディズニーリゾートの、緻密かつ大胆な方向転換
「大人のテーマパーク」から、「幅広い世代のテーマパーク」へ。
オープン当初の東京ディズニーシーでは、それまで東京ディズニーランドにはなかった、お酒が飲める空間や落ち着いた雰囲気、大人向けのショーが楽しめ、非常に好評を博しました。
しかしながら、長年にわたって愛されてきた東京ディズニーランドのイメージは根強く、「ディズニー=キャラクター」というイメージを覆すには至りませんでした。来場者数でも、ランドとシーでかなり差が表れるようになりました。
こうした流れを受けて、東京ディズニーシーは、パークの方向性を転換する必要が生じました。そして、2006年7月から開始した5周年のあたりから、「大人向けのディズニー」というコンセプトを活かしながらも、キャラクターの魅力を交えたパークへと徐々にシフトして行くのです。これが、ディズニーリゾートに訪れた「第1の転換期」といえます。
新しい試みは次々と成功していきます。例えば、キャラクターとライブショーが融合したライブバンドによるレビューショー「ビックバンドビート」、ディズニーシーらしさ満点の海上でのショー「レジェンド・オブ・ミシカ」です。また、それまではランドのみで開催されていたイースターやハロウィーンイベントをシーらしくアレンジして取り入れ、人気イベントとして定着させることに成功しました。
さらに、開園当初、シーにはキャラクターに確実に会える、いわゆるグリーティング施設がありませんでしたが、「アリエルのグリーティンググロット」(2005年4月)、「“サルードス・アミーゴス!”グリーティングドック」(2010年5月)、「ミッキー&フレンズ・グリーティングトレイル」(2011年4月)、「ヴィレッジ・グリーティングプレイス」(2011年7月)等を次々とオープン。さらにエントランス等でもミッキー、ミニーの整列型のグリーティングを開始するなど、開園当初とは明らかに異なる「キャラクター中心」の方向性を打ち出してきました。
その中で最も大きい成果と言えるのが、2004年に登場した「ダッフィー」というディズニーシーオリジナルのキャラクターでしょう。登場当初はその知名度も低かったのですが、その後は爆発的な人気となり、今ではミッキーやミニーと人気を二分するほどの看板キャラクターとなっています。さらにダッフィーの女の子版の「シェリーメイ」、猫の「ジェラトーニ」、ウサギの女の子「ステラ・ルー」と、近年は続々と新たなキャラクターが登場しています。
そうして、以前は平日の夜はガラガラだったディズニーシーは、今ではイベントによっては東京ディズニーランドよりも混雑するほどのテーマパークへと成長を遂げました。